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多摩川の鯉(1999/9/12)
9月12日、本日以下の意味のメールが入りました。
「多摩川に5本松という場所があるのですが、そこで私達や近所の子供達はヘラ師やヤマベ釣りの人と一緒に鯉を餌付けして大きくなるのを楽しみにしております。その中に(鯉専門の餌釣り師)に釣られて口が切れたり胸鰭が折れたりして何年も回復しない鯉がいます。傷ついた鯉について近所の子供達にハッキリ説明できないので、5本松では鯉釣りをしないで欲しい。」と言う内容でした。

このメールについて考えたいのですが、確かに口や鰭が大きく傷ついた鯉が多摩川ではよく見られます。推測ですが上記メールの(鯉専門の餌釣り師)に釣られてとは[吸い込み]の仕掛けによる物だと思われます(私も吸い込み仕掛けを口からぶら下げた鯉を、何尾も確認しています)。この[吸い込み]の仕掛け(写真右)は、鯉がまだ貴重なタンパク源の頃、獲物を確実に釣り上げる為に考案された仕掛けで、5−6本の針を付け、掛かった鯉が絶対外れないように作られています。しかし、汚染が進んで魚が食料にならなくなった都市型河川では、鯉もそのままリリースされています。そんな河川で[掛かった鯉を絶対に取り込む仕掛け]が必要なのでしょうか(鯉を食料にする[漁]の場合は別ですが)
そして一番気になるのは、鯉に糸を切られた場合です。口に掛かった仕掛けは、立派なカエシの為、掛かっている全ての針が錆びてしまうか、傷口が広がってしまうまで外れないのです(釣り師が針を外すのも大変なのですから)。体に掛からなかった針が水中の障害物等に引っかかった場合は最悪で、鯉はどちらかの針が外れるまで暴れ続け体を傷つけるのです。
現在、フライやルアーの世界では、魚を出来るだけ傷つけないように、カエシを潰すかカエシの無い針(バーブレス)を使う人が増えています(私もカエシは潰しています)。確実に釣り上げる事よりも、魚を傷つけない方が優先されているのです。吸い込み仕掛けの場合も、針数を減らし(出来れば1本に)カエシを潰す事は出来ないのでしょうか?その方が、鯉を傷つけることが少なくなるし、取り込みまでをゲームとして楽しむことが出来のではないでしょうか?鯉はもう[食料]ではないので[絶対取り込む仕掛け]は必要では無いのです。

それともう一つ、このメールの人達がやっている餌付けですが、ヘラ師やヤマベ釣りの人が鯉を餌付けしているのと、近所の子供達が餌を与えているのは、考えが全く違うのではないでしょうか?ヘラ師やヤマベ釣り師は、鯉に邪魔されないでヘラやヤマベを釣る為に、鯉を餌付けして足元に寄せているのです。鯉が可愛くて餌付けしているのではなく、自分たちの釣りの為にやっているのです。近所の子供達は、鯉が手から餌を食べてくれるのが嬉しくて集まっている鯉に餌を与えているのでしょう?餌をくれるから、もっと集まってくる。
確かに池等で鯉が餌に集まってくれば可愛いものです。まして自然の川で集まってくればもっと楽しいでしょう。つい餌を与えたくなってしまうでしょう。
しかし、考えて欲しいのは、多摩川の鯉は漁協公認の釣りの対象(放流している−当然入漁料を払う)なのです。岸に近寄って来て水面に浮く餌付けされた鯉を、釣り人が放っておく訳が無いでしょう。そんな釣り人を見つけて「自分たちが餌付けしている。かわいそうだから釣るな!」と言っても「多摩川の鯉を釣って何が悪い!」ともめるのは明らかです。
それに、餌付けされた鯉達がいつまでもその場所に居てくれると思わないで欲しい。鯉は、産卵時には産卵に適した場所に、流れが変わると住み易い場所に移動する。増水時には無理矢理川下に流される。餌付けされた鯉は、住みかを移動しても、人影を見れば餌をくれると近付いていきます。しかし、その人影が餌をくれる優しい人ばかりだとは限らないのです。そんな鯉の事を考えて餌を与えているのでしょうか?人の手から餌をもらうことを憶えた鯉が、裏切られ追いかけ廻される事を考えた事があるのでしょうか?
自然の中でプレッシャーを経験し、生き抜く技を憶えなければいけない生き物に、餌を与えて手懐けることが本当にその生き物のためなのでしょうか?
「餌付けしている鯉がかわいそうだから釣りをしないで欲しい」と言う人に「自然の中で生き抜いている鯉がかわいそうだから餌付けしないで下さい」とお願いしたいのです。


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皆さんから頂いた意見です。
こんにちは、いつも楽しく読ませていただいてます、木下です。
「五本松の件」読みました。ポイント図 E-3多摩川住宅前のコンクリートブロックが何本か入っているところだと思います。
3ヶ月ぶりに昨日(23日)の夕方1時間半ぐらい、娘といっしょにE-3に行って来たところです。
増水のため、中州には渡らずに、娘にパンくずを投げさせながら排水口の所で出来る反転流で一匹かけたのですが、ランディングの時、ティペット(3X)がコンクリートの角に触れブレイクしてしまいました。
どんな釣をするにも、(魚種、釣法は問わず)きちんとリリースできたとしても、少なからずダメージを与えると、考えます。ヤマメでも鯉でもおんなじでしょう。しかし、きちんとリリースできれば非常に少ないダメージですむのも、事実です。
又、釣り上げた魚をキャッチしようがリリースしようが寒河江川の様に決めらていなければ、それは釣り上げた人の考え方だと思います。
さて、傷つた鯉ですが、現在 漁協で認められている釣法ならば、しょうがないのでは? 「吸い込み」をやめろとか、餌付けしている所では釣るな、とは 言えないとおもいます。
ただし、このような問題を話し合う事は、意義の有る事だと思います。
多くの声として、最終的に多摩川のレギュレーションを変える事が出来れば・・・

私、個人としては、E-3での釣りを続ますけどね。

杉並区在住 木下 正樹 様(maruki@tokyu-agc.co.jp)

貴HPに掲載されていた吸込み仕掛け等について、

吸込みは小学校の頃には近所の池で使用したことがあります。クチボソやタナゴではアカムシが抜けないような返し付きのハリでした。ヘラ釣りでは初めからスレバリでした。
中学でルアー釣りを始めてから以後、いわく「ゲームフィッシング」たる空気の中におります。海で食べる目的で、シーバスやメバルをルアーで狙うとき以外はルアーフックも返しを潰しています。フライでは当初よりバーブレス。何回かは食すこともありましたが基本的にはリリースしています。

ある時「魚には痛覚が無い」と言ったところ妻に「何でそんなことが判るの、痛いかも知れないじゃあない?」と言われたことがあります。今では殆どの釣りがリリース前提なので、遊んでくれた魚になるべくダメージを与えないよう自然に発想していますが、いじめないには釣りをしないに限ります。

漁ではなく釣りという遊びを楽しむ上での、生物に対するある種の後ろめたさを少し覆う薄膜として、適切なリリースとバーブレスフックの使用はスタイル化しているように感じます。同じ魚でも、自宅で飼育しているペットとしての魚に釣り針を掛けることは考えられませんので、手前勝手の御都合を使い分けております。

言い訳が納得できるものであったとしても、私達が全ての釣り人を代表しているわけではないので、鯉釣りをやめて欲しい人を説得するには至らないでしょうし、餌をやることの問題に論点を移すと議論そのものが混乱するでしょう。

公共水面で遊魚が認められている場合、法的には釣りをすることに何の問題もないはずです。

ですが、投げかけられた意見には返事を返し、すれ違う意見を例えばHP上に公表する、それを誰かが見る、と言うことは大切なことだと思います。立場や認識に隔たりのある人たちが現実に居るのだ、ということだけは認めざるを得ないでしょうから。双方納得の決着は、とても幸運なレアケースでしょうから、鯉釣りにまつわる話題として、upされたことに大いに共感いたします。

緑区霧が丘在住 中野 廉 様(e-mail:LY_NAKANO@m1.people.or.jp)



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