■コイ科コイ亜科コイ属コイ(Cyprinus carpio)−全長60cm、まれに1mを越える。
色付きのコイと区別するためマゴイと呼ばれることもある。
野生型または、屋外に定着した飼育型を飼育されている物と区別してノゴイと呼ぶ。
■体はやや側扁した紡錘形で、口はその食性のためやや下を向いている。
フナとの区別は簡単でコイには口ひげが2対(4本)あるがフナにはない。
■大きな河川の中・下流域から気水域、湖、湖沼に生息する。流れの緩やかな淵や落ち込みの底層部、砂泥底を主な生息場所とする。移植により、ほぼ全世界に分布するが、自然分布はユーラシア大陸に限られる。
■食性は底性動物を中心とする雑食で、カワニナ、モノアラガイ、マメタニシ、シジミ等の貝類、ユスリカの幼虫、イトミミズ、ゴカイ類、さらに付着藻類、水草などを食う。餌のとりり方は独特で、吸引摂餌と呼ばれる方法で、吻(口)を砂泥の中に入れ砂ごと餌を吸い込み口の中で餌と泥を分け餌だけ飲み込み泥は吐き出す。
■産卵期は4−7月、地方によって少し違う。産卵は1尾の雌と数尾の雄によって流れの緩やかな浅瀬の水草の周りで行われる。
■卵は3−6日で孵化し1年で12-16cm、2年で18-25cm、3年で25-35cm、4年で35cm以上に成長する。寿命は20年ほどだが、まれに70-80年に達するものもいる。
都市周辺の河川では様子が少し変わってきた。かつては貴重な食用になっていたコイが水質の悪化により(最近環境ホルモンの問題も起きているが)、持ち帰られることもなくリリースされる事が多くなり、数の減少が抑えられサイズが大型化している。また、河川浄化の目的で、汚染に強いコイが大量に放流され個体数が増加している。しかも、生活排水の流入により彼等の餌が大量に流れ込むようになり、餌も豊富になった。数が少なくなった水底の動植物を探して泳ぎ廻らなくても、水と一緒に流れてくる餌を待っていればいい。大型になり、数の増えたコイをフライで釣って楽しむことが出来るならすばらしいことではないか?子供の頃、近くの川で大人が大きなコイを釣り上げたのを、恨めしく眺めていたことを思い出した。
フライフィッシングとは、鳥の羽、動物の毛、化学繊維等で餌(昆虫や小魚などの小動物)に似せた針を作り、魚を騙して釣る釣り方なので、釣りたい魚の食性を理解しその時どんな餌を捕っているかを知らないと釣れない。昆虫を食べている魚のためにはその虫に似せ、小魚を食べている魚には魚に似せた針を作り、その餌の居るところを流してやる。水面の餌を捕っている魚には水面を、底の餌を捕っている魚には底を。魚は、針の細部まで見て本物かどうかを判断しているのではなく、針全体の雰囲気とその状況で食いつくのだから不自然な流れ方をしたり、大きさが違っていると見向きもしない。そこがフライの難しく、面白い所なのだ。
本来コイは、フライで釣れる魚(岩魚、山女、虹鱒、ブラックバス、その他の肉食魚)のように水面や水中で動き廻っている小動物を捕食する事は苦手で、底の泥の中に隠れた動きの遅い小動物や植物性の餌を砂泥と一緒に吸い込んで泥だけ吐き出している。
では、どんな餌に似せた針で釣れるのか?
都市周辺のコイは、人間の生活に密着している。池のコイが、投げられた餌を競って捕っているのと同じで、生活排水の中のゴミを好食している。水面を流れてくる餌を、周りの気配を気にしながら一気に吸い込む。水面下のコイがどんな餌を好食しているのかは、水の透明度が悪く見えないので判らない。水面の餌は見える範囲で判断する限り、それは何でも良いように思われる。一度口に入れ、食べられないものは吐き出している。白い発泡スチロール、タバコのフィルター等はコイが水に隠れてしばらく後で浮いてくる。彼等が見向きもしないものは、水鳥の羽のように水面に浮き風で流され水と一緒に流れないもの、細長い小枝や草、半透明のビニール袋等。確実に口に入り二度と浮いてこないものは明るい色のあまり大きくないもの(浮いてこないので判断が難しい)。川に遊びに来た人たちが撒いたお菓子などは、喜んで食べている。そんな餌に似せた針を作り、コイの鼻先を自然に流してやれば必ず吸い込んでくれる。
|